本研究は電解フッ素化に適した電極触媒の設計と選定を通して、フッ素系機能性材料や生理活性物質の創製などを指向した電極触媒的電解フッ素化プロセスを新たに開拓することが主目的であり、本年度は以下の成果を得た。 高密度リチウム電池用有機電解液の開発:高密度リチウム電池用有機電解液として、高い電気伝導率(特にリチウムイオン)、電気化学的安定性(耐酸化性、耐還元性)、広い使用温度領域、安全性(難燃性)、安価であるといった要求性能を満たす有機フッ素化合物を計算化学により検討し、含フッ素環状カーボナートをターゲット化合物として選定した。ついで環状カーボナートにフッ素を選択的に導入すべく、電極触媒的電解フッ素化について種々条件を検討し、フッ素の最適化を行い、最適合成ルートを開発した。得られた含フッ素環状カーボナートは物性評価の結果、期待したとおり高密度リチウム電池用有機電解液として極めて優れていることを見いだした。 代替フロン(冷媒)の開発:代替フロンのモデル化合物として含フッ素エーテル系を選定し、種々のエーテル類を電極触媒的に電解フッ素化法することに成功した。
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