研究概要 |
今年度は,本研究の最終年度にあたるため,これまでの成果の取り纏めを中心に行い,機能性評価を行った。 (1)ベンザイン系超原子価ヨウ素化合物の開発 これまでのペンザイン発生剤に加えて,オルト位にシリル基を有するヨードニウム塩として、カルボニル基を導入した化合物の合成法の確立を目指し,合成化学的有用性を検討した。クマリン酸を出発原料とし、ビストリメチルシリルアセチレンとの環化付加反応を利用することにより、カルボニル基を有するベンザイン発生剤を合成法し、そのベンザイン発生剤の有用性及びベンザイン発生条件でもカルボニル基は全く損なわれないことを確認した。 (2)超原子価ヨウ素オリゴマー系化合物の開発 昨年に引き続き、環状構造を有する超原子価ヨウ素オリゴマーを合成した。1,4-ビス(ジアセトキシヨード)ベンゼンとジフェニルエタンや-メタンの反応により、環状構造を持つと考えられる超原子価ヨウ素オリゴマーが簡便に合成できることを見いだした。 (3)複素環系超原子価ヨウ素化合物の開発 アルキニルヨードニウム塩とメシチル基を有するニトリルオキシドの環化付加反応によりオキサゾリン骨格を持つ超原子価ヨウ素化合物が簡便に合成できることを見いだした。 合成した超原子価ヨウ素オリゴマーの生物活性について評価した。特に、工業カビやバクテリアに対して殺菌性があることがわかった。種々の官能基を導入することにより、高い生物活性をもつ超原子価ヨウ素化合物を開発できるものと期待できる。
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