研究課題/領域番号 |
12555260
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
高分子合成
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福田 猛 京都大学, 化学研究所, 教授 (00111972)
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研究分担者 |
西澤 理 三菱化学株式会社, ポリマー材料研究所, プロジェクトリーダー
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | リビングラジカル乳化重合 / リビングラジカル分散重合 / 交換連鎖移動 / 付加開裂移動(RAFT) / 高分子量重合体 / 分子量分布 / 単分散粒子 / Degenerative Transfer |
研究概要 |
交換連鎖移動機構のリビングラジカル重合(LRP)を乳化重合系や分散重合系などの不均一重合系に移すと、特定の条件下ではラジカル寿命の延長と交換移動頻度の増大が理論的に予測される。つまり、均一系重合に比べて高分子量で分子量分布が狭く、末端活性率の高いポリマーが得られると考えられる。これらの予測の検証を交換連鎖移動剤としてクミルジチオベンゾエートを用いたメチルメタクリート(MMA)およびスチレンの乳化重合および分散重合を行った。 特に分散重合において注目すべき結果が得られた。すなわち、水相溶媒、分散剤、温度などの重合条件の最適化を行った結果、MMA系ではそれぞれ、水/エタノール(1/3)、ポリアクリル酸、70℃の条件において、数平均分子量が約10万の分子量分布のよく制御された高分子量体の合成に成功し(高分子量化の実現)、さらに、低重合率より分子量分布の極めて狭い(分子量分布指数M_w/M_n〜1.1)ポリマーの生成を認め(分子量分布の制御性の向上)、理論の予測を実証することができた。しかしながら、生成ポリMMA粒子の一部は融着し、粒子の分散化は現在の検討課題である。一方、スチレン系では、水/メタノール(1/3)(水相溶媒)、ポリビニルピロリドン(分散剤)、70℃の条件下で、ポリスチレンの分子量分布を制御するとともに、融着のない粒径(典型的には約2μm)のほぼ均一なポリスチレン粒子を得ることに成功した。粒径は分散剤濃度により制御可能であった。いずれのモノマーにおいても、重合は短時間で完了し、予測どおり、粒子内のラジカル濃度が均一系に比して極めて高いことが確認された。また、MMA系では、非極性相としてヘキサンを、分散剤としてスチレン-ブタジエンブロック共重合体を用いた逆相分散重合も試みた。粒子の分散化の問題は残るものの、上述の順相系と同様に、LRPの性能向上を示す良好な結果を得た。
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