研究概要 |
本年度は、前年度に合成した種々のカチオン性高分子球状粒子の核酸吸着能を評価した。 (1)細大細孔径500-45000(糖の分子量として)、アミノ基含有量0.1〜5.0meq/gのアミノ化ポリ(γ-メチル L-グルタメート)(PMLG)粒子および橋かけポリ(ε-リジン)(PL)粒子の核酸吸着能を評価した。その結果、同粒子のアミノ基含有量が多いほど、細孔径が大きいほど核酸吸着能が高いことがわかった (2)上記実験に用いた種々の粒子のタンパク質吸着能を評価した。その結果、アルブミンに対する吸着能においては,粒子のアミノ基含有量よりも細孔径の及ぼす影響の方が大きいことがわかった。糖の排除分子量として10000以上の細孔径をもつ両球状粒子は,種々のタンパクに対してイオン性あるいは疎水性の吸着活性を示した。また,すべての粒子のγ-グロブリン吸着率は、緩衝液のイオン強度がμ=0.05〜0.8の条件下で3%以下であった。 (3)とくに、アミノ化PMLG球状粒子が核酸を幅広いイオン強度域および幅広いpH域で吸着維持できることより,核酸と同粒子との吸着活性がイオン的な吸着と疎水的な吸着との相乗効果によって引き起こされていることが示唆される。 以上の結果より、カチオン性高分子球状粒子の細孔径およびアミノ基含有量や、緩衝液のpHおよびイオン強度を制御することにより、核酸選択性を向上させることが可能であることがわかった。次年度は、種々の粒子を用いて、生体関連物質水溶液から核酸の選択除去を試みる。
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