研究課題/領域番号 |
12555280
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高木 幹雄 広島大学, 工学部, 教授 (00038556)
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研究分担者 |
今井 康貴 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 助手 (90284231)
岩下 英嗣 広島大学, 工学部, 助教授 (60223393)
斎藤 公男 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (50029279)
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キーワード | 没水平板 / 減揺効果 / 砕波現象 / 負の付加質量 / 波数分裂 / 消波効果 / 高次流体力成分 / MAC法 |
研究概要 |
今年度は、没水平板の流体力学特性を明らかにするために、2種類の水槽実験ならびにMAC法による数値シミュレーションプログラムの開発を行った。 まず、波強制力測定試験においては、超大型浮体構造物の前面に没水平板を設置し、超大型浮体の先端部に働く波強制力に対する没水平板の影響および没水平板に働く波強制力を測定し、次の特性が発生することを明らかにした。 (1)波周期の短い場合には、没水平板上で砕波現象が発生して、波エネルギーを消散して後方の大型浮体に働く全ての方向の波強制力を減少させる。 (2)波周期が大きくなるにつれて、入射波は没水平板を透過するために、大型浮体に働く波強制力に対して平板の影響は小さくなる。 (3)没水平板自体に働く波強制力は同じ大きさの浮体の場合よりも小さくなる。また、上下方向の波強制力は1次成分が支配的であるのに対し、前後方向および横揺れモーメントの1次成分は、長い波周期において減少し、2次3次の高次成分が大きくなる。 次に、没水平板単独の強制上下揺試験の結果、次の事項が判明した。 (4)上下揺れ周期が長くなるにつれて、没水平板に働く付加質量は負の値を示すようになると共に、減衰力成分も増大する。 (5)(4)の結果、長周期の波強制力は没水平板で減少はしないものの、超大型浮体の先端部での上下揺れにおいて負の付加質量成分は、復原力の増加と等価な現象となり、これは係留力を増加させたこととなる。従って、長周期においても超大型浮体の前端部の運動は減少することになる新しい知見を得た。 他方、没水平板ならびに浮体に働く波強制力をポテンシャル理論ならびにMAC法に推定した結果、次の成果を得た。 (6)ポテンシャル理論は、平板に働く波強制力を大きめに推定する。一方、MAC法は実験値を精度良く推定できる。 (7)MAC法は圧力成分だけでなく、流速分布も同時に推測できるために、平板周囲の流体現象の把握に有効な手段である。
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