研究概要 |
近年,遺伝子組換え作物が草本植物を中心に利用されるようになってきた.しかしながら,木本植物の果樹類では,形質転換体の商業的な栽培は,我が国はもとより諸外国においても行われていない.本研究の目的は,我々がこれまでに茎頂培養から,形質転換系までの組織培養系を確立してきたカキを材料に,遺伝子組換え個体の商業的利用の場面を想定して,多機能性を持ったカキ台木の形質転換体を作出し,圃場で栽培して評価することにある.本年度は以下の3点を検討した. 1)圃場試験に供するために選抜した系統をシュート培養により増殖した. 2)圃場試験に供するために選抜した系統の大量増殖法について,茎頂培養法によりrejuvenationした母本を用いることによる挿し木繁殖が可能かどうか検討した. 3)圃場試験に供するために選抜した系統について,昨年度行った組織別の糖組成および糖含量の測定を,本年度も反復測定した. 4)矮化傾向の見られた系統の,楚化が植物ホルモン含量変化の変化により生じているものかどうか,部位別の植物ホルモン濃度を測定することにより検討した. 4)圃場試験に供するために選抜した系統の果実成分の分析を行った. 5)昨年度に,本研究の海外共同研究者であるカリフォルニア大学のAbhaya M.Dandekar教授の協力を得て,カリフォルニア大学デービス校の実験圃場に定植した台木用の実生約150個体へ,圃場試験に供するために選抜した系統の接木を行った.
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