研究概要 |
レーザードップラー(LDV)法を用いて、セイヨウナシの追熟過程での弾性率の減少を詳しく解析すると,これまで言われてきたように,果実の硬度は指数関数的に減少しているのではなく,いわゆる逆数式で近似したほうが精度のよいことが分かった.これは,果実が一定の比率で軟化しているのではなく,どこかに最終値があり,それをめざして軟化していることを物語っている.このように一個体の果実を経時的に連続測定できるLDV法のメリットが確認された.リンゴの品種別にLDVで測定した弾性率と、現場で使われているペネトロメータ(PM)の値の相関を調べた.夏緑,祝、つがる、スターキングは両者の相関が高かったが,ゴールデンデリシャス,フジは低かった.日本でのリンゴ生産の50%以上を占めるフジで相関が低いのは実用上問題があることが分かり,今後,LDVはフジのどこの固さを測定しているかを特定する必要がある.セイヨウナシを用いLDVで測定した後,Acoustic Measurement of Crispness(AMC)法(特許申請)で肉質の食感を測定した.セイヨウナシの食べ頃を示す.メルティングの状態を州C法は音響的に捉えることに成功した.LDVのFFT解析したスペクトルを主成分分析し,重回帰でAMCの値を説明できるかを試したところ,ほぼ70%を説明できることが分かった.これより,LDVで測定したデータに,食べたときの食感を説明するデータが含まれていることが分かった.
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