研究課題/領域番号 |
12556014
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 暢夫 京都大学, 農学研究科, 教授 (50026556)
|
研究分担者 |
木邑 敏章 トヨタ自動車(株), FPバイオ・ラボ, 研究員
由里本 博也 京都大学, 農学研究科, 助手 (00283648)
阪井 康能 京都大学, 農学研究科, 助教授 (60202082)
|
キーワード | 脱窒細菌 / 芳香族化合物 / 嫌気分解 / Magnetospirillum / Thauera sp. / トルエン / フェノール |
研究概要 |
1)生態系における芳香族化合物分解性脱窒細菌コンソーシアの動態解析と活用 本申請者が新たに見出した、らせん状脱窒細菌の培養条件を適用して、広く自然界に同種の菌を探索し、新たに10種の菌株を水田土壌など異なる資料から分離し、それぞれの性質を明らかにした。今回分離した細菌は、全て脱窒条件下で安息香酸に生育でき、フェノール資化性菌とトルエン資化性菌の2つのグループに分類できた。また、一分離菌はフェノールを好気・嫌気両条件で分解した。16S rDNAの塩基配列より、これらの菌株はいずれもProteobacteriaのα-サブクラスに属するMagnetospirillumの菌種に類縁であったが、系統樹上ではトルエン資化性菌とフェノール資化性菌が2つのグループに分かれることが明らかになった。Magnetospirillum属細菌の共通の性質は走磁性であり、非脱窒性であるが、分離菌はいずれも走磁性を示さず、生理的にも顕著に異なる菌群であることが判明した。 以上のことは、嫌気あるいは微好気環境で、これらの菌種が自然界に広く存在し、生態系の物質循環に一定の役割を果たしていることを示すものである。 2)脱窒細菌による芳香族化合物分解経路の解明 本申請者らが単離したThauera sp.DNT1株は、好気・嫌気両条件でトルエンを分解でき、両条件で全く異なる代謝経路でトルエンを分解する。この代謝変換が起こる環境応答因子を遺伝子レベルで調べるための基盤的手法となる変異条件を検討し、トランスポゾンによる変異が有効であることを見出し、その条件を設定した。
|