研究概要 |
連続式ミクロバブル超臨界CO_2法によってSaccharomyces cerevisiaeの死滅に及ぼす溶存CO_2濃度と処理温度の影響を明らかにした。処理圧力(4,6,8,10MPa)及び処理温度(30,34,36,38℃)の種々の組合せ下でミクロバブル超臨界CO_2処理を行った。D値(ある条件下で生残菌数を1/10に減らすのに必要な処理時間(min))は、8MPa-38℃の条件下で0.14min、10MPa-36℃の条件下で0.15minであった。さらに、log D値は処理温度のみならず溶存CO_2濃度に対して直線関係にあることが明らかとなった。溶存CO_2濃度一定下で耐熱性係数(D値を1/10に短縮するのに必要な処理温度の上昇分)は、9.5℃であった。一方、CO_2抵抗係数は7.2γ(γ,Kuenenのガス吸収係数;単位体積の溶液に溶解している気体の標準状態における体積)であった。 以上の結果、ミクロバブル超臨界CO_2による殺菌挙動が一次反応に従うこと、処理温度と溶存CO_2濃度が殺菌に関して等価であることが明らかとなった。したがって、任意の温度、溶存CO_2濃度におけるD値を予測することが可能となった。 ミクロバブル超臨界CO_2を用いる連続処理により酵素失活挙動が速度論的に解析された。35℃、30MPaの条件下におけるα-アミラーゼのD値5.0±1.2min(酵素活性を10%に低減させるのに必要な処理時間(min))は、70℃の加熱処理におけるD値227±15.9minよりも短かった。50℃、30MPaの処理における酸性プロテアーゼのD値(15.4±4.1min)は、50℃の熱処理における値(233±15.2min)に比べて有意に減少した。ミクロバブル法における酸性プロテアーゼ失活のための活性化エネルギーは135±8.3kJであり、この値は熱処理(259±9.0kJ)に比べて約50%であった。以上の結果、ミクロバブル超臨界CO_2を用いる連続処理は液状食品中の酵素の失活化に極めて効果的であることが明示された。
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