研究概要 |
処理圧力(5,8,10,15,19MPa)、処理温度(44,46,48,50,52℃)、処理時間(0.25min〜2.1min)及び溶存CO_2濃度(2.6〜24.2γ)の種々の組合せ下で、Aspergillus niger胞子の殺菌が行われた。何れの条件下においても、死滅挙動は一次反応式に従った。52℃-10MPaの処理によりD値は0.16minであった。logD値は、処理温度ならびに溶存CO_2濃度との間にそれぞれ直線関係が認められ、胞子の失活に関して温度と溶存CO_2濃度が等価であることが明らかとなった。しかしながら、殺菌に及ぼす温度と溶存CO_2濃度の間には有意な交互作用が認められた。25γでの耐熱性係数は4.7℃、52℃でのCO_2抵抗係数は6.4γであった。上記の実験条件下における処理温度と溶存CO_2濃度の殺菌に及ぼす効果は、それらの交互作用を含めてすべて明らかにすることができた。 加圧カーボネーション(7MPa,30〜34℃)下でのSaccharomyces cerevisiaeの殺菌に及ぼすグルコース、エタノール、試料液粘度及びpHの影響を明らかにすることにより、オレンジ果汁及びビール中のSaccharomyces cerevisiaeの殺菌挙動を解析した。 グルコースは試料溶液中にCO2排除体積を形成し、溶存CO_2の見かけ濃度を低下させたが、実効濃度を高める作用があった。エタノールはCO_2の溶解度を高めるとともに細胞内へのCO_2の浸透を促進させた。グルコースとエタノールはいずれも濃度依存的に試料溶液の粘度上昇に寄与した。試料溶液の粘度と殺菌速度の間には明瞭な関係が認められた。試料溶液のpHは殺菌速度に影響を及ぼさないことが明らかとなった。
|