研究概要 |
帯のこ挽材において、のこ歯通過周波数が帯のこ固有振動数より数Hz高い運転条件のとき、のこ歯の切削軌跡にずれによる切削抵抗横分力が自発的に起こる。帯のこは自励振動(再生びびり)が誘起され、挽材面に凹凸状のウォッシュボードが形成され、問題となっている。自励振動は周期現象であるため、その原因周波数となるのこ歯が等間隔に配列されていると、自励振動は効率高く発生する。 そこで、本研究では、のこ歯を不等間隔にすることによりウォッシュボードを防止することを発案した。のこ歯ピッチ17,18,19,20,21mm(最小-最大差4mm)および15,16,17,18,19,20,21,22,23,24mm(最小-最大差9mm)を乱数表によりランダムに配列したランダム帯のこ1およびランダム帯のこ2を試作した。のこ車直径410mmの木工用帯のこ盤を用いて、のこ車回転数150〜350rpmの範囲で挽材実験を行い、帯のこの変位および挽材面性状の観察から、自励振動の有無を調べた。等間隔帯のこは曲げ振動モード、ねじり振動モードともに自励振動が起こるのに対して、ランダム帯のこ1は曲げ振動モードの振動は抑制され、ランダム帯のこ2は曲げ振動モード、ねじり振動モードともに完全に振動が抑制され、ウォッシュボード発生は完全に防止できた。自励振動の抑制効果を数値的評価を試みた。のこ歯の振動1周期間で、横分力と振動方向が同方向は正(振動成長)、逆方向は負(振動消滅)とし、全のこ歯で総和を指標値とした。ランダム帯のこ2はどの振動モードも指標値は負になり、自励振動抑制ランダムピッチ帯のこであった。
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