研究概要 |
ヒラメの病原ウイルスであるヒラメラブドウイルス(HIRRV)およびブリ、マダイ等の病原ウイルスであるイリドウイルスに対するDNAワクチンの有効性を調べるとともに、海産養殖魚の病原菌Mycobacterium sp.のDNAワクチン候補遺伝子であるAntigen85複合体遺伝子の構造解析を行なった。さらに、サイトカインの一種であるインターロイキン-1のアジュバント効果についても検討した。 HIRRVのグリコプロテイン遺伝子DNAを遺伝子銃により接種したヒラメの累積死亡率はグリコプロテイン遺伝子DNAを接種していないヒラメに比較して有意に低かった。 0.01μg、0.1μg、1.0μg、10.0μgのpCMV-HRVgDNAをヒラメに注射法によって接種したワクチン魚に攻撃試験を行ったところ、Relative percent survival(RPS)が順に0、16.2、71.2および91.2の順であった。1.0μg以上のpCMV-HRVgDNAを接種することにより防御反応が認められ、ワクチン効果が認められた。また、マダイにイリドウイルスのアタッチチメントタンパク質および主要外殻タンパク質遺伝子を接種し、DNAワクチン試験を行なったところ、コントロールと比較して累積死亡率は有意に低かったが、RPSは約50であり、今後、改良が必要であることと考えられた。 Mycobacterium sp.からAntigen85複合体遺伝子のA、B、Cの3タイプがクローン化された。AタイプのORFは1,014bp、BタイプのORFは978bpおよびCタイプのORFは1,035bpで、いずれのタイプも既知のMycobacterium種のものと相同性が高く、魚類のDNAワクチンとしての利用が可能と考えられた。 インターロイキン-1遺伝子を接種すると細胞性免疫に重要なMHC-1遺伝子の発現の増強と、液性免疫に関与する免疫グロブリンIgD遺伝子の発現が増強されたことから、インターロイキン-1はアジュバントとして有効であると考えられた。
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