近年のマイクロエレクトロニクスの急速な発展は、海洋生物の行動生態研究に画期的な研究手法を提供することとなった。現在、各種のマイクロデータロガーや超音波テレメトリー並びに人工衛星によるテレメトリーなどによって、海洋生物の遊泳水深、遊泳速度・加速度、経験水温、体内温度等が得られるようになってきている。また、我々の研究によって自由遊泳中の海洋生物の心拍数の計測も可能となった。 本研究においては、これらのセンサーに加えて、地磁気センサーを搭載したデータロガーを開発し、これにより海洋生物の三次元行動を測定しようとするものである。 本研究期間に地磁気センサーと加速度センサーを組み合わせた各種のプロトタイプを製作した。これらのプロトタイプを最初の段階はタイ国水産局(現 海洋沿岸資源局)傘下のウミガメ保護ステーションにある飼育池(約5ヘクタール)で実際のウミガメ(アオウミガメおよびタイマイ)に装着してデータを取得した。これらの実験結果を下にプロトタイプの改良を行い最終的にはアンダマン海におけるアオウミガメの重要な産卵地であるシミラン諸島フーヨン島において、実海域実験を行い、当初の目的である三次元の遊泳行動の再現に成功した。
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