研究概要 |
プレッシャーインフィルトロメータ試験法をベースとした,測定が簡単で,装置構造もシンプルな締め固め地盤の原位置透水試験法(「定水頭浸潤式原位置透水試験法」)を開発することを,本研究の目的とする. 本年度の研究では,「交付申請書」で立案したように,プレッシャーインフィルトロメータ法の測定領域(深さ)を検討するとともに,研究全体に必要となる土の不飽和水分特性を求めるための室内試験法の開発に取り組んだ.以下に,各研究内容の成果あるいは進捗状況を取りまとめる. (1)浸潤リングの幾何形状(半径と挿入深さ)を変えた4種類のプレッシャーインフィルトロメータ試験装置(リング半径2.5,5,7.5および10cm)を試作し,室内土槽試験によりそれぞれの測定深さを測定した.これを数値実験の結果と照合させて,リングサイズ,地表面上に与える定水頭の大きさ,ならびに土の種類に応じた測定深さのパターン化について検討した. (2)原位置で深さ方向に透水係数を効率的に測定できるウェルパーミアメータ試験装置を購入した.プレッシャーインフィルトロメータ法による測定結果と比較して,その測定領域の大きさを原位置で比較した.平面的な測定にすぐれたプレッシャーインフィルトロメータ法と深さ方向の測定にすぐれたウェルパーミアメータ法を組み合わせることにより,より現実的な原位置試験法(システム)を開発できる可能性が新たに出てきた. (3)土の不飽和水分特性を測定するため,TDRとマイクロテンシオメータを組み合わせた室内試験法を開発した.TDR測定システムの設計を終え,現在,締固め土を対象とした瞬時水分計測法により,システムの測定精度を調べている.この試験法により,これまでプレッシャーインフィルトロメータ法の分析で仮定してきた土の不飽和水分特性を直接に測定することができるようになり,研究の深化が期待される.
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