研究概要 |
地域用水としての機能を、農村型の用水と都市型の用水を対比しながら明らかにする目的で、昨年度の手取川七ヶ用水掛かりの受益地(農村型用水の代表)に引き続き金沢市内を流れる用水地区(辰巳用水,大野庄用水、鞍月用水)を対象に、アンケートを実施、回収、集計を行った(10地区21町会に2、036票を配布し,回収1、320票、有効回答1、117票を得た)。これらのデータは、用水の価値を経済学的に評価するために、CVM法(仮想市場評価法)により解析中である。 また,七ヶ用水の支線が流れる本学実験農場内と河原市用水の取水地点である金沢市堅田に設置した2基の気象ロボットを用いて、風向、風速や気温、降水量、日照時間、気圧、水位などの気象観測を行うとともに、インターネットカメラによる用水画像や鳥類を始めとした生態観測データをほぼ一年間にわたって収集した。これらのデータは、季節や用水量、気象との関連で整理する予定である。 前年度に引き続き、農業用水・排水の水質の変化を追跡するための調査を行った。特に、本学経営農場において降雪そのものと、その積雪が融解して牧草地を通って流出するまでの組成の変化を系統的に調べた。降雪および積雪を分析した結果からは、融雪初期にイオン成分が濃縮されて流出し、それが排水にも反映されているという結果を得た.現在,投稿準備中である. 農業用排水路の構造と維持管理の実態を把握するために,全国53地区の圃場整備事業実施地区を対象にアンケート調査を実施した.現在,自然生態系等環境に関する項目について整理,分析中である.
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