研究概要 |
本研究の目的は,環境と植物の関係を表す環境-植物遺伝子モデル、農業における収量予測のための作物生育モデル、植生変化および収量変化の予測モデルなどの植物関連モデルと、気象データ・環境データベースを情報ネットワーク上で有機的に結合させて、様々な研究ニーズに対応するネットワーク対応型の環境植物シミュレータを試作開発し、多数の研究者がネットワーク上でモデルを評価、活用する実験的な環境を構築することである。 今年度は,すでに開発した生育モデルに,葉の出葉時期および葉一枚(個葉)ごとの成長を表すサブモデルを作成して追加した。つぎに,このモデルを,ネットワーク上でシミュレーションするためのシステムの開発を行った。実際にテストを行い,クライアントが設定する環境条件のもとで,ネットワーク上のサーバでシミュレーションを実施し,クライアントが結果を受け取るシステムの有効性を示すことができた。 本モデルは,各葉の重量増加は出葉から最大展開までの間に行われると仮定する。つまり,個体光合成産物の葉への分配は,展開葉に対して行われるとしている。このモデルを用いて,光環境の変化やオゾンガス曝露時の生育中の個葉の重量成長をシミュレートすることが可能になった。このサブモデルは,短期・中期の環境変化やストレスで生じる生理現象の変化を,葉齢単位でシミュレートすることを目的とする。そこで,仮想ストレスとして,光環境変化などを与えたシミュレーションを実施し,実測結果と比較したところ,ドウズ量が等しくてもそのストレスの与え方,時期によって成長が異なることが明らかになった。
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