研究課題/領域番号 |
12556042
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
高山 真策 東海大学, 開発工学部, 教授 (90236365)
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研究分担者 |
鱧谷 憲 大阪府立大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (30264815)
林 真紀夫 東海大学, 開発工学部, 教授 (60092087)
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キーワード | モノテルペン / 熱収支法 / ボーエン比法 / フラックス / アカマツ / 自動濃縮 / ペルチェクーラー / 濃縮管 |
研究概要 |
森林群落上2高度で採取したテルペンガス濃度の差から森林群落のテルペン発散フラックスを求めるために、2経路のガスを吸着剤を含む濃縮管に通気し、大気中のテルペンを採取できるテルペンガス自動濃縮採取装置を試作した。最大18本までの濃縮管を保持できる濃縮管保持部の温度を、濃縮器官にわたって一定、均一にするため、ペルチェクーラーを取り付けた。 この試作機の性能を評価するため以下の実験を行ってきた。 1 濃縮管保持部の温度保持性能 2 クロマツ実生群落における夜間を含む定期採取における性能評価 3 フラックス測定サイトでの実測 これまでの実験(1,2)で、装置の高い性能を確認し、実際にフラックス測定に応用できる目途が立ったため、アカマツ測定サイトにて、5月から11月までモノテルペンフラックスを断続的に測定した。フラックスは、6月に最大で、次いで8月と5月が同様な値で高かった。秋季になるとフラックスは低下したが、11月でも測定可能であった。モノテルペンの中では、α-ピネンが最も多く発散されており、次いでリモネン、β-ピネン、ミルセンの順であった。また、林内の高度プロファイルの測定から、樹冠下部の空気層に大量のモノテルペンが貯留していることが判明した。特に、大気が安定状態となる夜間や夕方にモノテルペンの蓄積が起こること、および早朝には貯留していたモノテルペンが上方へ輸送され、測定したフラックスが放出速度を過大評価することがわかった。これらを考慮した貯留モデルを作成し、群落の放出速度と、貯留の影響が含まれるフラックスとを区別して考慮することを可能とした。 以上の様にテルペンガス自動濃縮採取装置の完成とともに、そのフラックス測定への適用により、森林のモノテルペン放出フラックスに関する興味深い現象を解明できた。
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