本年度は、以下の各項目についての計測および解析を行ない、細霧システム運転制御設計に必要なデータを得た。 1.細霧付着が植物葉温に与える影響 基礎実験として、冷房を止めた条件下で模擬的に植物体に細霧を付着させ、葉面への細霧付着が葉温に及ぼす影響を、環境要因(日射量、空気飽差、気流速など)との関係で調べた。その結果、快晴時には、細霧付着前の葉温は室温よりも最大15℃高くなったものの、葉面へ細霧が付着することで、葉温は室温近くまで低下した。日射量が大きいときほど、また空気飽差が大きいときほど、付着細霧の蒸発速度が高くなり、細霧付着による葉温低下は大きくなった。他方、気流速が大きくなると、細霧付着前の葉温が室温近くまで低下しているため、付着細霧の蒸発速度は高くなるものの、細霧付着による葉温低下は小さいことが分かった。 2.細霧噴霧間隔および噴霧量と室温低下 断続的な細霧噴霧による細霧冷房運転を行う場合、1時間当たりの細霧噴霧量が同じ場合でも、噴霧間隔を変えることによって、室温経時変化パターンが異なり、平均室温低下も異なることが実験により確認できた。すなわち、1時間当たりの細霧噴霧量が同じ場合でも、1回当たりの噴霧量を少なくし、1時間当たりの噴霧回数を増やすことで、1時間当たりの細霧蒸発量が多くなり、平均室温低下が大きくなることが分かり、運転制御設計でこの点を考慮に入れることが必要と考えられた。
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