研究課題
1.トランスジェニックマウスを用いたEP0遺伝子プロモーター解析の結果、EP0遺伝子プロモーターは全身で遺伝子発現を誘導できることが明らかになった。2.オーエスキー病ウイルスの潜伏感染期における遺伝子発現は、制限されており、潜伏感染関連転写産物(LAT)だけが、潜伏部位である三叉神経節で検出される。このLATの発現調節機構を解明するため、LATの転写開始点(+1)を含む約1Kbのコアプロモーターとさらにその上流領域を0.3〜4.9Kb含むDNA断片を用いてレポータープラスミドを作出し、Neuro2AおよびVero細胞を用いてプロモーター解析を行った。その結果、-3603〜-1386の領域は、非神経細胞におけるLATのコアプロモーターからの転写を抑制することが明らかになった。3.トランスジェニックマウスを用いてLAT遺伝子プロモーター解析を行うため、LATのコアプロモーターとその上流領域を3.6Kb含むレポーター遺伝子DNA断片をマウス受精卵に注入し、各々11匹と13匹のトランスジェニックマウスを作製した。4.抗病性遺伝子の開発を目的に副作用の出現を抑えるために蛋白質の転写抑制因子に替えて、より安全であると考えられるRNAの潜伏感染関連転写産物(LAT)を利用することとし、LAT発現プラスミドを構築し、オーエスキー病ウイルス前初期遺伝子に対する転写抑制能について検討した。しかし、神経および非神経細胞のいずれにおいても転写抑制能は認められなかった。5.テトラサイクリン制御システムを利用して、オーエスキー病ウイルスEP0のdominant-negative mutantを発現する細胞株を樹立し、dominant-negative mutantの発現に依存して、オーエスキー病ウイルスの増殖が抑制されることを明らかにした。6.EP0遺伝子発現トランスジェニックマウスは、オーエスキー病ウイルス感染に抵抗性を示した。この感染抵抗性は、トランスジェニックマウスの胎仔線維芽細胞においても認められた。
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