1.仮性狂犬病ウイルスEPOのdominant-negative mutantを発現する細胞株が、その発現に依存して、仮性狂犬病ウイルスの増殖が抑制することから、仮性狂犬病抵抗性マウスの作出を目的として、マウスの全身で遺伝子発現を誘導できるEPO遺伝子プロモーターで駆動するEPOのdominant-negative mutant遺伝子をマウス受精卵に導入し、トランスジェニックマウスを4系統作製した。このうち、3系統で遺伝子が子孫に伝達された。 2.仮性狂犬病ウイルスの潜伏感染期における遺伝子発現は、制限されており、潜伏感染関連転写産物(LAT)だけが、潜伏部位である三叉神経節で検出される。トランスジェニックマウスを用いてLAT遺伝子プロモーターの解析を行うため、LATのコアプロモーターとその上流領域を3.6Kb含むレポーター遺伝子DNA断片をマウス受精卵に注入し、各々11匹と13匹のトランスジェニックマウスを作製した。系統化したLATのコアプロモーターでCAT遺伝子を発現する4系統のトランスジェニックマウスの解析から、LATのコアプロモーターは全身で遺伝子を発現できること、および三叉神経で強いプロモーター活性を示す可能性があることが示唆された。 3.抗病性遺伝子の開発を目的として、副作用の出現を抑えるために宿主固有の遺伝子産物を利用することとし、仮性狂犬病ウイルスレセプターの免疫グロブリンスーパーファミリーの1つであるブタのherpesvirus entry mediator C(HveC)のecto-domainとマウス免疫グロブリンのFc領域の融合蛋白を発現するプラスミドを構築した。
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