1.仮性狂犬病ウイルス(PRV)EP0遺伝子導入マウスを作製した。EP0遺伝子の発現は、トランスジェニックマウスの全身の組織で確認され、EP0 ORFの上流213bpの塩基配列は、in vitroでの結果と同様in vivoにおいてもEP0遺伝子を発現できることが示された。 2.仮性狂犬病抵抗性マウスの作出を目的として、PRV EP0のdominant-negative mutantを発現するトランスジェニックマウスを3系統確立した。 3.PRVの前初期蛋白であるIE180は、自己の転写を抑制する因子である。本研究では、IE180の発現によりウイルスの増殖が抑制されるか否か検討するため、Tet-Off systemを用いて、PRV IE180発現トランスジェニックマウスを5系統確立した。 4.PRVのレセプターの1つであるブタのネクチン1の細胞外ドメインとヒト免疫グロブリンのFc領域の融合蛋白を発現する細胞株は、PRV感染に抵抗することを明らかにした。 5.PRVの潜伏感染期における遺伝子発現は、制限されており、潜伏感染関連転写産物(LAT)だけが、潜伏部位である三叉神経節で検出される。LATプロモーターによる遺伝子発現の組織特異性を調べるため、トランスジェニックマウスの作製した。解析の結果、LATプロモーターは神経細胞で強い活性を示すことが示された。 6.PRVの前初期(IE)遺伝子は感染後最初に発現するウイルスの複製に必須の遺伝子である。IEプロモーターによる遺伝子発現の組織特異性を調べるため、トランスジェニックマウスの作製した。解析の結果、前初期遺伝子プロモーターは、神経組織で強い活性を示すことがが示された。 7.ヒト単純ヘルペスウイルスのレセプターの1つであるマウスのherpesvirus entry mediatorの細胞外ドメインとヒト免疫グロプリンのFc領域の融合蛋白を発現するトランスジェニックマウスが、ヒト単純ヘルペスウイルス感染に抵抗性を示すことを明らかにした。
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