研究課題/領域番号 |
12556056
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
辻本 元 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60163804)
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研究分担者 |
阪口 雅弘 国立感染症研究所, 免疫部, 主任研究官(研究職) (20170590)
増田 健一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40313077)
大野 耕一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90294660)
白石 明郎 三共株式会社, 第3生物研究所, 所次長(研究職)
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キーワード | アレルギー性疾患 / イヌ / 日本スギ花粉 / ハウスダストマイト / T細胞エピトープ / ペプチド療法 / DNAワクチン / 実験感作犬 |
研究概要 |
動物のアレルギー性疾患の新規治療法として、減感作を有効に誘導することが可能なDNAワクチンによる治療法確立を最終目的とし、応用的研究の基盤としての基礎的研究の成果を集積した。スギ花粉症と診断された犬において、スギ花粉抗原に対して末梢血リンパ球の増殖反応を検討し、さらに末梢血中好塩基球を利用したヒスタミン放出を測定した結果、スギ花粉抗原に対するリンパ球芽球化反応を認め、スギ花粉抗原特異的なヒスタミン放出を認めたことから、イヌのスギ花粉症においてもヒトと同様なアレルギー反応がその病態に関与していることがわかった。また、イヌにおいてアラムアジュバントを用いて実験的にスギ花粉感作を誘導することに成功した。これら実験的感作犬を用いて合成オーバーラッピングペプチドによるT細胞エピトープのマッピングを行った結果、スギ花粉主要抗原の一つであるCry j1において2種類のペプチドに反応性が確認され、ダニ主要抗原のDer f2においても1種類のペプチドに高い反応性を有することがわかった。さらに、これらのペプチドに対するリンパ球のサイトカイン産生パターンにおいても、明らかにIL-4の産生が増加していることがわかった。これらのことから、犬においてもこれらT細胞エピトープがアレルギー発症機序に関与しており、これらに対するDNAワクチン療法が有効であることが示唆された。 また、季節性鼻炎のネコにおいてもスギ花粉抗原に対して皮内反応陽性、P-Kテスト陽性、リンパ球芽球化反応を検出し、ネコにおいてもスギ花粉症が存在し、ヒトの自然発症モデルとして今後の根治治療法の対象となることがわかった。 応用的研究においては、T細胞エピトープの経口投与によるペプチド療法およびスギ主要抗原Cry j1遺伝子によるDNAワクチンによる遺伝子治療の臨床的有効性について検証するため、実験的にスギ花粉感作犬を作成することに成功し、それら実験感作犬のリンパ球芽球化反応におけるサイトカイン産生パターンを解析した結果、IL-4が優位であることがわかった。
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