研究課題/領域番号 |
12556059
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉岡 まり子 京都大学, 農学研究科, 講師 (30220594)
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研究分担者 |
木村 光 (株)グリーンバイオ, (研究職)取締役社長 (80026541)
川島 信之 三井化学(株), LACEA開発室, (研究職)室長補佐
白石 信夫 フジカーボン(株), グリーンテック技術開発部, (研究職)顧問 (70026508)
井沢 真吾 京都大学, 農学研究科, 助手 (10273517)
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キーワード | ふすま / 液化 / 生分解性 / 4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート / ポリウレタンフォーム / 微生物 / 閉鎖系酸素消費量 / 生分解中間体 |
研究概要 |
ふすま(小麦の外皮)液化物から調製したポリウレタンフォーム(PUF)について、その生分解性を深く検討した。まず、エチレングリコール/グリセリン[4/1(w/w)]系多価アルコール、及び、硫酸触媒存在下でふすまを液化し、得られた液化物と4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)との反応によってPUFを調製した。環境中から単離した微生物を用いてin vitroでの生分解性試験に該PUFを供し、重量減少、FT-IR解析、SEM観察、並びに培地溶液のHPLC分析から生分解性の評価を行った。また、標準活性汚泥を用いた閉鎖系酸素消費量による評価も併せて行った。 PUFのIRスペクトルの比較から、液化物をポリオールとして用いた場合、MDIは添加量によっては架橋を形成するのみならず、片末端が未反応のままで残っているものも存在することが知られた。これは液化物の化学構造の特異性に起因するものであるのか、また、物性・生分解性等との関連を検討する必要がある。一方、118日に及ぶ生分解性試験の結果、対照実験に比べ約8%の重量減少が確認された。SEM観察からも生分解を受けている様子が認められた。IRスペクトルにおいては、培養初期の段階においてエーテル結合に切断が起こっていることが示唆されたが、ウレタン結合切断を示す明瞭な変化は見られなかった。培養溶液のHPLC分析からは対照実験とは異なる組成が確認され、本サンプルが生分解を受けていることがさらに支持された。他方、閉鎖系酸素消費量の測定では、約50日の試験期間でその生分解度が70%にも達し、良好な生分解性を示した。なお、試験終了後の全有機炭素量(TOC)の測定を行ったところ、対照区(活性汚泥のみの系)に比べてその値は低く、サンプルの生分解に伴う可溶性生分解中間体の環境中への残存についての懸念は軽減されたと言える。
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