近接場光を導入したマルチ・モード光学顕微鏡システムの試作研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12557002
• 研究機関: 東京医科歯科大学
• 研究代表者: 片山 芳文 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (20014144)
• 研究分担者: 辰巳 仁史 名古屋大学, 大学院・医学研究か, 助教授 (20171720) ; 本間 知夫 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (80242246) ; 平井 恵二 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (70156628)
• キーワード: レーザー光線 / 光全反射 / 近接陽光 / 脊髄後根神経節 / 三叉神経節細胞 / 培養細胞 / 成長円錐 / 免疫染色法

研究概要

光の全反射にともなって発生する近接場光を利用して生体シグナル分子やイオン、機能性分子を可視化・観測する装置を試作することを目的として、本年度の研究計画を実施した。今回の観察に利用した標本は、幼若ラットの脊髄後根神経節や三叉神経節から分離・培養したニューロンである。
1.カバークラスに貼り付けた直角プリズムを通してレーザー光線を射入する方式と、昨年度付加した対物レンズを通してレーザ光線を導入する方式の使い分ける事が出来るシステムを構成した。
2.両方式を比較検討するために、カバーグラス上面に置いた蛍光ビーズの蛍光像を冷却CCDカメラを用いて観察し、近接場光が形成されていることを確認でき、目的によって両方式を適宜用いることとした。対物レンズ経由による方式では、カバーグラスを動かして細胞の任意の部分を光近接場に移動することができるが、全反射面を形成するために射入するレーザー光束の平行性を得るための光学系調整、及び、近接場光形成前に強い光による蛍光褪色を起さないことが必要である。
3.対物レンズ経由方式を活用して、培養ニューロンの細胞体や成長円錐がカバーグラス接触している部分について、接着分子であるインテグリン(integrin α1β1とintegrinα6β1)を蛍光免疫染色法によって可視化し、その局在を観察した。前者は接触部分に広く認められたが後者は接触部分の中で点状に認められ、分布状況の差異があることが分かった。
4.免疫的方法を用いて金コロイド標識したカルシウムチャネル、及びカルノフスキー法を用いたアセチルコリンエステラーゼ活性を近接場光で観測できる可能性を検討した。近接場光内に金コロイドなどが存在すると近接場光が伝播光になるので観測できると期待されたが不十分で、射入レーザー光の波長や強さ等が今後の検討課題として残っている。

研究成果

• [文献書誌] Katayaina Y, Homma T, Hara Y, Hirai K: "Tea catechin, (-)-epigallocatechin gallate, facilitates clolinergic transmisson in the myontoric plexus ・・・・・"Neuroscience Letters. 319. 93-96 (2002)
• [文献書誌] Tsuji H, Hirai K, Katayama Y et al.: "Peripheral surface acetylcholiriesterase activity of a fine network stained histochemically and observed with"Brain Res Protocol. 9. 16-22 (2002)
• [文献書誌] 本間, 土屋, 平井, 片山: "近接場光顕微鏡による神経成長円錐の接着機構の解析"日本生理学会大会予稿集(79). 145 (2002)
• [文献書誌] Furukawa T, Katayama Y et al.: "Fhosphorylation and functional rigulation of CTC-2 chloride channels expressed in Zenopus oocytes by"Journal of Physiology (London). 540. 883-893 (2002)
• [文献書誌] Soeda H, Tatsumi H, Katayama Y: "Functional characterization of calcium channels localized on the growth cones of cultured rat dorsal root"Neuroscience Letters. 325. 5-8 (2002)
• [文献書誌] Homma T, Hirai K, Katayama Y: "Visualization of functional molecules in neurons with modified evanescent light microscope"日本生理学会大会. (発表予定). (2003)