研究概要 |
本研究は、光学系にTFT(薄膜トランジスタ)液晶パネルを設置して、標本の明るい部分のCCDカメラへの入力光のみを選択的に減ずる方法で、ダイナミックレンジの低い汎用のビデオ撮影システムによる光学測定を行う道を拓くことを目的とする。 初年度と13年度でCCDカメラを、毎秒1000フレーム動作に対応させ、コントローラを更新すると共に、AD変換装置をコントローラ内蔵型に変更した。また、顕微鏡の落射螢光装置の光源を付属の電源から直流高安定化電源装置に変更し、光量を安定化した。装置付属のソフトウェアはオープンソースを特徴としているが、IDLという言語を用いて作られている上、コンパイラーにバグがあったりして、本研究に適したシステムへの書き換えは予想以上の困難に遭遇して難航している。 本年は、新たに振動刃ミクロトームを購入し、スライス標本を用いる実験も開始した。しかし、購入したCCDカメラの受光素子は、1ミリ秒間にほぼ215,000個の光電子が発生する光強度で出力が飽和してしまうことが判明し、当初予定された吸光測光による記録は不可能で、落射螢光によってのみ測定可能であることがわかった。したがって、スライス標本からの記録も落射螢光法で行うことへ変更を余儀なくされた。スライス標本の使用自体は、三次元的な解析に用いることで新しい活路が開かれつつある。 CCDカメラが飽和する光強度は、落射螢光方式の場合でも、通常の使用法ではタングステン・ハロゲン光源を用いてさえ、背景光強度が強い部分では飽和して膜電位が測定出来ないという光強度であり、本研究で取り組んでいる開発が早期に実現することが、このCCDカメラを用いて膜電位の光学的測定を行なおうとしている研究者に望まれることが明らかになった。
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