研究概要 |
抑制性のIgG受容体であるFcγRIIBの遺伝子欠損マウス(RIIB-/-)を利用して各種自己免疫疾患モデルマウスを開発し,疾患発症メカニズムの理解および治療方法・新薬の開発のベースとして応用研究を展開した.RAモデル:RIIB-/-をCIA好発マウスであるDBA/1マウスに戻し交配し,DBA/RIIB-/-マウスを作製した.均一かつ高率,短期間のうちに重症のCIAを発症することが示され,このDBA/RIIB-/-マウスにおける関節炎の病態を解析し,抗リウマチ薬開発のベースに応用することを計画している.IDDMモデル:RIIB-/-をNODマウスに戻し交配してNOD/RIIB-/-マウスを作製した.これにおいて意外なことに糖尿病の発症が著しく遅れることが観察された.これを病理学的に解析するとともに,逆にNODにFcγRIIBをトランスジーンとして導入することで糖尿病が早発するか否かを試み,糖尿病治療へのFcγRIIBをベースにした創薬の可能性を探りつつある.GPSモデル:RIIB-/-にIV型コラーゲンを免疫するだけで,著しい肺胞出血と糸球体腎炎を発症することを既に見い出した.これがヒトGPSと酷似していることを確立し,GPSモデルとして病態の理解と新規治療薬の効果判定に利用するための準備をおこなっている.PVモデル:RIIB-/-にラットケラチノサイトを免疫し,自己抗体の誘導と難治性水疱形成の過程を調査中である.PVで見られる全身衰弱が何に起因するのかをこの病態モデルで解析し,至適薬剤の選択や新薬開発に応用する予定である.
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