研究課題/領域番号 |
12557020
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
米満 吉和 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (40315065)
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研究分担者 |
石橋 達朗 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (30150428)
中島 豊 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (50135349)
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
江頭 健輔 九州大学, 医学部・附属病院, 講師 (60260379)
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キーワード | センダイウイルス / 遺伝子治療 / 嚢胞性線維症 / 血管新生 / 重症虚血肢 / 網膜色素変性症 |
研究概要 |
平成12年度は、呼吸器・循環器を中心に国産新規遺伝子導入ベクター(組み換えセンダイウイルスベクター:SeV)の生体内動態、遺伝子導入能、そして種々の疾患モデルに対する遺伝子治療実験を行った。 呼吸器ではSeVの特筆すべき気道上皮への遺伝子導入効率が明確となり、既存のアデノウイルスベクター、リポソームと比較して1,000-100,000倍の高い発現効率を示すこと、つまり気道をターゲットとした遺伝子治療における有望なベクターであることを証明した(Nature Biotechnology 2000、他投稿中)。現在本ベクター気道投与時の宿主反応の解析を進めており、クララ細胞における生体防御機構が重要な役割を果たしていることを示唆する中間成績を得ている。 循環器ではヒト、ウサギ血管壁において1分程度の短時間の接触で遺伝子導入が官僚するという重要な性質が明らかになり、これまで最も導入効率が高いと考えられていたアデノウイルスをも凌駕する遺伝子導入効率を示すことを直接的に証明した(FASEB J,in press)。また本ベクターによる血管新生因子FGF-2遺伝子導入は、現在欧米で臨床試験が進んでいるVEGFと比較して、重症虚血肢において安全かつ高い効果が得られることを直接的に証明した(投稿中)。本プロトコールは近日中に九州大学倫理委員会へ申請、臨床試験を開始する予定である。 眼球においても、網膜直下に数分ベクター液を満たすのみで、網膜色素上皮細胞へ高い遺伝子導入効率が得られることを証明した(投稿中)。 以上のように本研究計画は予定よりもさらに早いスピードで順調に進んでおり、一部は最終目的である臨床研究への準備を進めている。本年度の解析で種々の臓器における本ベクターの特性が明らかになったので、来年度以降はさらに多くの疾患モデルに対し治療実験を進め、諸臓器を対象とした難治性疾患への遺伝子治療臨床応用への可能性を模索したい。
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