研究課題/領域番号 |
12557023
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
竹屋 元裕 熊本大学, 医学部, 教授 (90155052)
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研究分担者 |
海北 幸一 熊本大学, 医学部, 教授 (30346978)
寺崎 泰弘 熊本大学, 医学部, 助手 (50332870)
坂下 直実 熊本大学, 医学部, 講師 (90284752)
鈴木 宏志 帯広畜産大学, 原虫病センター, 教授 (60333473)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | 粥状動脈硬化 / スカベンジャー受容体 / SR-AI,II / LOX-1 / 抗酸化製剤 / ノックアウトマウス / 泡沫細胞化 / α-1-antitrypsin |
研究概要 |
我々はこれまでにアポE蛋白とクラスAスカベンジャー受容体(SR-AI,I)の二重欠損マウスにおいて、粥状硬化病巣サイズが約60%軽減することを確認したが、交雑系での検討であったので、今回の検討では、C57BL/6Jに純化したマウスを用いて7か月にわたって高脂肪食飼育を行った。その結果、SR-AI,II欠損マウスでは病巣形成が約70%抑制された。同様の実験系で高脂肪食飼育したC57BL/6Jマウスに抗酸化製剤であるBO-653を同時投与すると、病巣形成が約75%抑制された。つまり、通常の食餌性粥状硬化形成においてはSR-AI,IIの欠損によって粥状硬化形成が強く抑制されること、さらにBO-653によって脂質酸化を抑制するとSR-AI,II欠損マウスよりも強い病巣形成の抑制効果が得られたことになる。このことは、特定の受容体に対する拮抗剤を開発するよりも、脂質酸化を抑制する抗酸化製剤の方が有効である可能性を示唆した。SR-A以外のスカベンジャー受容体として、内皮に発現されるクラスE受容体LOX-1(Lectin-like oxidized LDL receptor-1)欠損マウスにおける粥状硬化病巣の形成過程を検討しているが、現在のところ正常マウスとの間に有意な差違を認めていない。一方、LDLの修飾因子としてoxidized α1-antitrypsinについて検討すると、ヒト血漿中には、oxidized α1-antitrypsin/LDL complex(AT-LDL)が存在し、AT-LDLはLDLより4倍速くマクロファージによって取り込まれ、マクロファージの活性化を引き起こすことがわかった。ヒトの粥状硬化病巣にも、AT-LDLの局在が確認され、AT-LDLが粥状硬化病巣におけるマクロファージの泡沫細胞化と活性化に関与する可能性が示唆され、創薬ターゲットとして注目される。
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