研究課題/領域番号 |
12557027
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
太田 美智男 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20111841)
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研究分担者 |
飯沼 由継 京都大学, 医学部・附属病院, 助手 (90303627)
鳥居 啓三 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80324440)
長谷川 忠男 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10314014)
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キーワード | 黄色ブドウ球菌(MRSA) / A群レンサ球菌 / 菌体外分泌蛋白 / 2次元電気泳動解析法 / NTED / 皮膚剥離毒素 / コアグラーゼ型 / クローナリティ |
研究概要 |
黄色ブドウ球菌(MRSA)、A群レンサ球菌の各種臨床分離株について、菌体外分泌蛋白の2次元電気泳動解析法を確立し、主要なスポットについてN末端アミノ酸配列解析を行い、ゲノムデータベースからそれぞれのスポットに対応した蛋白の同定を行い、ほぼ完成することができた。また、培地、増殖など培養条件ならびに泳動条件を検討して早期定常期の培養上清を用いて再現性の高いスポットパターンを得ることができた。黄色ブドウ球菌、A群レンサ球菌臨床分離株はさまざまな菌体外分泌蛋白の発現パターンをとり、特殊な病原性を示す株は特有のスポットパターンを示すことが明らかとなった。(1)MRSAのなかで新生児毒素ショック症候群様発疹症(NTED)の株はきわめて大量のTSST-1,SECを分泌する。そのパターンは菌株が異なっても似ている。(2)新生児熱傷様皮膚剥離症候群の株は近年日本で分離されるMRSA株のなかで特異なパターンをとる。今回解析した株は、きわめて大量の皮膚剥離毒素ETBを分泌し、他の毒素の分泌は少ない。一見して皮膚剥離毒素が他の毒素分泌を抑えているかのようである。(3)各コアグラーセ型スポットパターンの関係を調べたところそれぞれのコアグラーゼ型に特徴的なスポットパターンが見られた。同一のコアグラーゼ型の株間には特にスーパー抗原毒素の分泌に差が見られた。(4)A群レンサ球菌については、各M抗原型とスポットパターンに相関が見られた。特に劇症型感染を起こしたM1ならびにM3型の株はそれぞれ特有のパターンを示し、クローナリティ(特定の菌株から派生したこと)を示唆する。(5)各スポットの蛋白定量は染色濃度による画像解析によって行った。LC-MASの成績と比較してある程度の相関があり、半定量法として利用できることがわかった。
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