研究課題/領域番号 |
12557029
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅村 和夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20117360)
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研究分担者 |
石井 直人 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60291267)
浅尾 裕信 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80250744)
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キーワード | OX40リガンド / OX40L欠損マウス / 自己免疫病 |
研究概要 |
<背景と目的> OX40リガンド(OX40L)は我々が遺伝子単離した免疫分子で、TNFファミリーに属する。最近、我々はOX40L遺伝子欠損(KO)マウスを作製し、OX40Lが抗原提示細胞の機能に重要な役割を果たすことを明らかにした。抗原提示細胞上の機能分子がアレルギーや自己免疫発症に直接関与していることが示唆されている。そこで、阻害性抗OX40L単クロン抗体(OX40L-Ab)およびOX40L遺伝子欠損(KO)マウスを、自己免疫病モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)に適用し、OX40Lの自己免疫発症への関与を検討した。従来、アレルギ-・自己免疫発症の遺伝的背景としてリンパ球機能分子が想定されていた。本研究では抗原提示細胞機能分子であるOX40Lに着目することにより、抗原提示細胞機能異常による自己免疫発症機序を解明し、ひいては新たな治療法の開発を目的とする。 <結果と考察> 1.直接抗原をマウスに免疫して誘導するactivc EAEでは、OX40L-Ab投与、OX40L欠損マウスの両者で、明らかな発症抑制が認められた。その抑制効果はナイーブT細胞が抗原を認識する初期免疫レベルである可能性が明らかになった。 2.in vitroで樹立した抗原特異的T細胞をマウスに静注して誘導するpassive EAEでは、OX40L欠損マウスをrecipientに用いた場合、EAEの発症は抑制されなかったが、野生型マウスに比し、麻痺の回復が有意に良好であった。recipient側のOX40Lが、記憶T細胞の生存あるいは維持に関与している可能性が考えられた。 以上の結果より、OX40LがEAEの発症および回復に関与し、その機能を抑制することにより自己免疫の発症抑制、治療に有用であることが示唆された。
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