研究概要 |
本研究においては、HLA領域のSingle Nudootide Polymorphisms(SNPs)、KiIIer Immunoglobulin-like Receptor(KIR)遺伝子の多型およびABO式血液型遺伝子多型を用いて各種疾患感受性遺伝子を検索し、さらにこれら遺伝子多型を個人識別に応用することを目的としている。 1、第6染色体上のHLA class I, II, IIIを含む全HLA遺伝子領域のSNPsを検索し、これらのSNPsをsequence specific primer(SSP)法によりタイピングするためのprimerをデザインした。これまでにこのprimerセットを160組作製した。 2、第19染色体のKIR遺伝子の多解析を行い、これまでに24種の遺伝子、9種のハプロタイプを同定した。 3、インフォームドコンセントを得て、日本人の健常者、慢性関節リウマチ症および花粉症患約100人のDNA試料を収集した。口蓋裂症や突然死事例等のDNA試料については現在収集中である。 4、HLA領域のSNPsおよびKIR遺伝子多型について、健常対照群100試料、リウマチ群100試料における遺伝子頻度を求めた。ハプロタイプについては解析中である。 5、DNAチップを用いた検出法を検討し、Dye labelling法よりもM13 tailed labelling法により、PCR産物をラベルする方法が良い結果を得ることを確認した。 6、これらの遺伝子多型の個人識別への応用を検討した。親子鑑定の事例について検討を行ったところ、SNPsだけでも高い父権肯定確率は得られたが、さらに多くの染色体について調べる必要があるため、第6、第19染色体以外にABO式血液型遺伝子(第9染色体)を同一条件でSNPsタイピングする系を検討した。今後さらに多くの染色体上のSNPsに拡大してゆく予定である。
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