研究概要 |
1.TNFαが病態形成上きわめて重要な役割を持つと考えられる関節リウマチ(RA)において、TNFαプロモーターハプロタイプとX線上の関節破壊の進行度との関連を、初期RA123例の前向き研究で検討した。追跡開始後12ヶ月の時点で、-1031T,-863C,-857Tハプロタイプを持ち、HLA-DRB1のRA感受性アリルを持たない群が、他群と比較してもっとも関節破壊の進行が遅く、治療に反応してCRPが低下していることが観察され、このハプロタイプがRAの進行と関連することが示唆された。今後も、より長期の観察が必要と考えられる。 2.多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM)患者においてTNFαプロモーターハプロタイプを検討したところ、間質性肺炎合併例において、有意に-1031C,-863A,-857Cハプロタイプが増加していることが見出された。PM/DMにおける間質性肺炎は致命率の高い難治性病態であり、今後の診療上重要な知見であると考えられた。 3.帯状疱疹後神経痛患者群においてTNFαプロモーターを含むHLA領域遺伝子群の関連を検討したところ、HLA-A^*3303-B^*4403-DRB1^*1302の顕著な関連が見出されたが、TNFαプロモーターハプロタイプとの関連は検出されなかった。 4.顕微鏡的多発血管炎におけるHLA-DRB1とTNFαプロモーターの関連を検討し、DRB1^*0901との関連が検出されたが、TNFαプロモーターハプロタイプとの関連は検出されなかった。 5.タイにおける軽症マラリア、非脳性重症マラリア、脳性マラリア患者群でTNFαプロモーターハプロタイプの関連を検討したところ、-1031C,-863C,-857Cハプロタイプが脳性マラリア群で有意に増加していることが見出された。
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