研究課題/領域番号 |
12557051
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
油谷 浩幸 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (10202657)
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研究分担者 |
山下 尚彦 (株)特殊免疫研究所, 研究員
児玉 龍彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (90170266)
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キーワード | 肝細胞癌 / マイクロアレイ / モノクロナル抗体 / 悪性化 / 肝炎ウイルス / 腫瘍マーカー |
研究概要 |
肝癌における遺伝子発現プロファイリング 本邦における原発性肝細胞癌はおもに肝炎ウイルスに罹患した慢性肝疾患をベースに発症し、脱分化を経て悪性化してゆく。本年度は肝癌25例、肝硬変10例、慢性肝炎6例、および転移性肝癌患者由来の正常肝8例のサンプルを4万個の遺伝子についてオリゴヌクレオチドアレイ(GeneChip, Affymetrix社)を用いて発現プロファイリング解析をおこなった。癌部の解析では脱分化により発現が変動する数十の遺伝子の抽出を行った。一方、肝炎ウイルスの罹患の影響はみられず、むしろ背景肝についての解析でHBV陽性、HCV陽性例でそれぞれ発現が亢進している遺伝子の同定が可能であった。HBV陽性例ではHBx関連遺伝子が、HCV陽性例ではインターフェロン関連遺伝子の発現が特異的に上昇するなど興味深い知見が得られた(未発表データ)。 診断用モノクローナル抗体作成 非癌部と癌部の遺伝子発現レベルの比較で、肝細胞癌に特異的に発現レベルが亢進していたグリピカン3、ミッドカインの両遺伝子については哺乳動物細胞で全長蛋白を発現させたのち、マウスに免疫を行いモノクローナル抗体を作成した。肝癌手術検体における蛋白レベルでの発現亢進をWestern blotおよび免疫組織化学で確認した。さらに術前、術後の肝癌患者血清での測定を開始した。既存の肝癌腫瘍マーカーとあわせて予後予測や治療効果判定に用いることが可能か現在データ解析中である。さらに、肝細胞癌で発現が亢進していることが判明した遺伝子のうち15個につき200-300アミノ酸程度の部分蛋白をGST融合蛋白として精製し、これを抗原として免疫を開始した。得られたモノクローナル抗体につき、順次哺乳動物細胞で発現させた全長蛋白を認識するかどうかスクリーニングを進めている。
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