酵母を用いたtwo hybrid assayにより、NS5A蛋白には転写活性化能を持つことを見いだした。NS5A ISDRは転写基本因子との相互作用により転写活性化能を示し、DNA結合蛋白とISDRの融合蛋白は酵母および培養細胞で他の遺伝子の転写を活性化し、機能はISDR依存性であった。 NS5A蛋白が培養細胞系において、interferon signal伝達に対して抑制的に作用することを我々は解明して来た。すなわち、NS5A発現培養細胞にinterferon誘導性reporter遺伝子を導入し、interferon刺激を行うと、reporter遺伝子の発現はNS5Aにより抑制される。しかも、この作用はISDR依存性であり、ISDR変異によりこの作用は減弱し、臨床的観察と一致する結果であった。この機能の作用点はリン酸化STATによるISGF3形成の抑制にあると考えられた。この作用機序をさらに詳細に検討するため、NS5A発現培養細胞におけるISGF3構成要素、すなわち、interferon刺激によるSTAT1のリン酸化、p48に対するNS5Aの影響について検討したところ、これらに対してはNS5Aの影響は明らかではなかった。さらに、NS5A発現細胞においてはTNF-alphaによるapoptosis誘導が抑制されていることを見出した。Interferon治療における感染肝細胞の排除にはapoptosisが関与するとされており、NS5Aのapoptosis抑制作用はInterferon治療抵抗性の機序の一つである可能性が示唆された。
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