研究課題/領域番号 |
12557055
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
日比 紀文 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50129623)
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研究分担者 |
真壁 利明 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60095651)
末松 誠 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (00206385)
北島 政樹 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90112672)
渡辺 守 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (10175127)
野村 達次 実験動物中央研究所, 所長(研究職) (10072399)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 大腸癌 / リポソーム / 磁性体 / ヘム / プラズマ / 生体内組織染色 / バイオマグネティックプローブ |
研究概要 |
我々が今回の研究で実用化しようとしている技術は、新規に開発された種々の単クローン性抗体を用い、これを磁性体ヘム-NO複合体または酸化鉄Fe2O3を封入したリポソームの表面に結合させたバイオマグネティックプローブを作製して生体内に投与し、抗体の認識する特定抗原の存在部位に送達させ、生体内組織染色を行い、集積したリポソーム内の磁性粒子のシグナルを、生体外よりESR-CT・NMR-CTにより画像情報として検出するという、これまでとは全く異なるヒト疾患診断デバイスの開発を目的とするものである。まず、大腸癌特異的な抗原の探索のためにヒト大腸癌細胞株colo205細胞を免疫源とし、LHK抗体を作製した。本抗体により認識されるLHK抗原は正常のヒト及びマウス腸管上皮細胞、膵臓、脾臓にて発現を認め、他の細胞死誘導抗原Fas、TNF-R、DR4抗原とは異なる分布・機序による細胞死誘導により上皮のターンオーバーを司り、上皮細胞の恒常性維持に関与していると考えられた。また、この抗原は大腸癌の分化度により発現が低下し、悪性度が強くなるに従い、発現の低下を認めた。さらにLHK抗体を磁性体を封入したリポソームの表面に結合させ、生体内組織染色を行うために組織に送り込む技術の開発に取り組んだ。生体融合性画像デバイスの開発に必須な生体内代謝系での動態が明らかにされているものに、ヘム-NO複合体や酸化鉄Fe2O3があり、今回の研究によって、ヘムは大量のNOとの反応でメト化し、NO濃度をコントロールすることにより、α-submitに特異的に結合し、安定なαヘム-NO複合体を形成することを明らかにした。これをリポソームに封入し、リポソーム表面に、単クローン抗体LHK抗体のF(ab)2をコーティングすることにより、リポソーム粒子を体内の目的部位に送達し、また、リポソーム内に酸化鉄を封入することによっても磁性粒子として用いることが可能になると考えられた。癌部、炎症部では血管透過性亢進によりこのような粒子が特定の抗原を認識して集積し、磁性シグナルとして検出が可能になると考えられた。さらに、このような画像デバイス粒子は血管内投与、内視鏡を用いた管腔投与にも応用可能であり、いままでにない全く新しい診断・治療画像デバイスになりうるものと期待される。
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