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2001 年度 実績報告書

肺胞II型細胞発現遺伝子とその産物による肺疾患の病態解析と診断・治療への臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 12557057
研究機関札幌医科大学

研究代表者

黒木 由夫  札幌医科大学, 医学部, 教授 (70161784)

研究分担者 村上 聖司  札幌医科大学, 医学部, 助手 (40315487)
岩城 大輔  札幌医科大学, 医学部, 助手 (10315492)
高橋 弘毅  札幌医科大学, 医学部, 助教授 (60231396)
永江 尚人  ヤマサ醤油(株), 診断薬部, 主任
キーワード特発性間質性肺炎 / 自己抗体 / 肺胞II型細胞 / A549細胞 / 肺サーファクタント蛋白質 / SP-A / SP-D / SP-C
研究概要

本研究は、肺胞II型細胞に発現する肺サーファクタント蛋白質SP-AとSP-D、および、新たな肺胞II型細胞発現遺伝子を用いて呼吸器疾患の病態解析と診断、治療への臨床応用を目指すことを目的として遂行された。今年度は、SP-AとSP-Dの疾患マーカーとしての意義の確立、および、特発性間質性肺炎患者に存在する自己抗体の認識抗原の検索と病態解析に焦点を絞って研究を進めた。
1.特発性間質性肺炎患者に存在する自己抗体
抗核抗体やリウマチ因子陰性で、膠原病の発症していない特発性間質性肺炎患者血清を用いた免疫組織学的検討を行ったところ、その50%で肺胞II型細胞に対して陽性所見が得られた。共焦点蛍光顕微鏡を用いた検討では、A549細胞の細胞質画分に患者血清の認識する抗原が存在していた。A549細胞細胞質画分と患者IgGとの免疫沈降法により、分子量120kDa蛋白が検出された。この120kDa蛋白をゲルより溶出、プロテオーム解析を行い、そのアミノ酸配列の解析から、alanyl tRNA synthetaseであることが明らかになった。さらに、本酵素のcDNAをクローニングし、免疫組織学に陰性であったCHO細胞にトランスフェクトして患者IgGによる共焦点蛍光顕微鏡で調べたところ、GFP-標識alanyl tRNA synthetaseの局在と一致して、患者IgGの認識抗原が認められた。alanyl tRNA synthetaseの酵素活性法を確立し、患者血清とインキュベートしたところ、患者血清は有意にこの酵素の生理活性を抑制した。以上の結果は、膠原病合併のない特発性間質性肺炎患者の半数において抗alanyl tRNA synthetase抗体が存在することを証明している。
2.疾患マーカーとしてのSP-AとSP-Dの新たな意義
放射性肺臓炎における微細な肺病変に対しても血清SP-AとSP-Dは上昇した。胸部単純Xpでは検出できず、CTにて初めて検出できるような微細病変にも鋭敏に反応し、その血清学的診断の有用性が証明された。さらに、SP-A、SP-C、CC10によるRT-PCR法によって肺腺がんの血球での微小転移検出法が確立された。

  • 研究成果

    (11件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (11件)

  • [文献書誌] 高橋 亨: "GM-CSFノックアウトマウス"分子呼吸器病. 5. 45-51 (2001)

  • [文献書誌] 千葉弘文: "肺サーファクタント蛋白の構造と機能:phage display peptide libraruyを用いた解析"分子呼吸器病. 6. 19-21 (2001)

  • [文献書誌] 黒木由夫: "Surfactantの生化学"THE LUNG Perspectives. 9. 392-401 (2001)

  • [文献書誌] Takahashi H: "Diagnostic significance of surfactant proteins A and D in sera from patients with radiation pneumonitis"Eur Respir J. 17. 481-487 (2001)

  • [文献書誌] Maeda A: "Identification of human antitumor cytotoxic T lymphocytes epitopes of recoverin, cancer-associated retinopathy antigen, to achieve a clinical progress in a paraneoplastic syndrome"Eur J Immunol. 31. 563-572 (2001)

  • [文献書誌] Chiba H: "Rat mannose-binding protein A binds CD14"Infect Immun. 69. 1587-1592 (2001)

  • [文献書誌] Sohma H: "Differential lipid specificities of repeated domains of annexin IV"Biochim Biophys Acta. 1546. 205-216 (2001)

  • [文献書誌] Sohma H: "Binding of annexins to lung lamellar bodies and the PMA-stimulated secretion of annexin V from alveolar type II cells"J Biochem. 130. 449-455 (2001)

  • [文献書誌] Mitsuzawa H: "Extracellular Toll-like receptor 2 region contaning Ser4O-11e64 but not Cys3O-Ser39 is critical for the recognition of Staphylococcus aureus peptidoglycan"J Biol Chem.. 276. 41350-41356 (2001)

  • [文献書誌] Murakami S: "Surfactant protein A inhibits peptidoglycan-induced TNF-alpha secretion in U937 cells and alveolar macrophages by direct interaction with Toll-like receptor 2"J Biol Chem.. 277. 6830-6837 (2002)

  • [文献書誌] 佐野仁美: "呼吸器疾患-診断と治療の最前線-第1章呼吸器系の分子生物学3.気道免疫防御機構と肺サーファクタント蛋白質"先端医療技術研究所. 489 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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