研究概要 |
本研究の研究分担者である青木らによって、遠位型筋ジストロフィー(三好型)の原因遺伝子が同定され(Nature Genet,1998) dysferlin(以下ジスフェルリン)と名づけられた。本研究ではまず、遠位型筋ジストロフィー(三好型)の原因遺伝子であるジスフェルリンの遺伝子解析をわが国の患者検体を用いて施行し、その変異を集積することにより、同遺伝子における共通な変異の有無、異常集積部位(hot spot)の有無を検討する。また、肢帯型筋ジストロフィーの患者においてもジスフェルリン遺伝子異常の頻度の検索を行うことを目的に計画された。本年度までに日本人遠位型筋ジストロフィー(三好型)34家系36例、肢帯型筋ジストロフィー患者24家系27例、高CK血症患者2例においてジスフェルリン遺伝子の解析を行い、三好型遠位型筋ジストロフィー24家系、肢帯型筋ジストロフィー13家系、高CK血症1例で遺伝子変異が確定した。外国例ではC末端の膜貫通部位の直前に変異が集積している傾向がみられたが、わが国の症例では遺伝子全体に分散して分布していた。一方、G1310+1AとC1939G変異は3家系にG3370T変異は8家系に、3746delG変異と4870delT変異は6家系に認められ、この5種類の変異は本研究で同定された変異の59%を占め、日本人に比較的頻度の高い変異と考えられた。これらの変異はいずれも正常コントロール例にはみられず、患者に特異的であった。G3370T変異は軽症型、C1939G変異およびG3510A変異は重症型と関連する可能性があると考えた。
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