研究概要 |
研究初年度として、慢性肉芽腫症遺伝子治療臨床研究のための準備段階が主で、日本における慢性肉芽腫症の統計と、遺伝子解析の結果を整理し、遺伝子治療に変わる骨髄移植やIFN-gの有効な症例についての検討を十分行った。その結果、1)Human Genetics.106,473-481,20001(Ishibashi F, et al : Statistical and mutational analysis of chronic granulomatous disease in Japan with special reference to gp91-phox and p22-phox deficiency)を報告した。また、2)この統計作業の中で、IFN-gが有効な症例を見いだし、その原因について解析し、Bloodにした。3)MND retorovirusurs vectorはプロモーター部分の塩基配列を置換することにより、導入遺伝子のサイレンシング(遺伝子転写に関わるプロモーター部分のメチル化により蛋白への翻訳合成が中断すること)を克服しようとして開発されたベクターであるが、我々も、次のステップのMND gp91-phox遺伝子治療ベクターを開発中であったが、そのクローニングでウイルス力価が十分なものが得あられない結果となった。 この統計、遺伝子解析と新たな遺伝子治療用ベクター開発を基に、遺伝子治療が有効と考えられる症例を絞り込み、遺伝子治療申請作業を開始しようとしている。その他、日本の慢性肉芽腫症患者のEBVB細胞株を樹立し、MFGS-gp91ベクターを用いて、欠損蛋白の導入を行い、その活性の回復を確かめ、各患者で治療の可能性があることを確認しようとしている。また、GMP gradeの製品として入手可能な増殖因子(SCF,IL-3,IL-6,Flt-3 ligand,TPO、やPIXY(IL-3とGM-CSFの癒合蛋白))と可溶化IL-6 receptor-_蛋白を組み合わせる事によりヒト造血幹細胞を培養し、各virus vectorでの遺伝子導入効率をメチルセルロース法および液体培養法で比較検討する.同時に、gp91ノックアウト・マウスに移植し、in vivoによる遺伝子導入効率の良否を決定しようとしている。
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