研究概要 |
1.AML1/EVI-1モデルマウスの作製 ヒトAML1遺伝子の第5エクソンのプローブを用いて、マウスAML1の第5エクソン近傍のゲノムをサブクローニングした。マウスの第5エクソンにイン・フレイムでヒトEVI-1 cDNAを結合させた。ネオマイシン耐性遺伝子、リコンビネーション用のマウスAML1の第5イントロンのゲノム及びDTA遺伝子を繋いでノック・インベクターを完成させた。現在数クローンの相同組換えES細胞を得ており、キメラマウス作製中である。 2.AML1コンディショナルマウスの作製 AML1floxマウスとLck-Creトランスジェニックマウスを交配することにより、Tリンパ球特異的にAML1遺伝子を不活化させた。このAML1コンディショナルマウスではDN, DP, CD4 SP, CD8 SPを含む胸腺T細胞が激減していたが、これはDN3(CD25(+), CD44(-))からDN4(CD25(-), CD44(-))への分化障害の結果であった。TCRβの発現はCD8 SP細胞では保たれていたがCD4 SP細胞では低下しており、CD4 SP細胞の分化障害が存在すると考えられた。さらに、抗CD3抗体及びIL-2で刺激した際のCD4及びCD8 SP細胞の増殖もAML1コンディショナルマウスでは障害されていた。最後に、AML1コンディショナルマウスでは脾臓の胚中心の形成が著しく障害されており、IgG1, IgG2a, IgG2b, IgAの産生が低下しIgMの産生は増加していた。これらの表現型は、脾臓におけるCD4 SP細胞とB細胞の相互作用の障害によりB細胞のクラススイッチが正常に営まれないことを示している。AML1はT細胞分化の各段階で重要な役割を担っていると結論された。
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