研究課題
本研究では、FMEVタイプのレトロウイルスベクターを用いて、遺伝子発現に関する検討を行なうため、以下のことを行なった。(1)標的細胞の検討ヒトCD34陽性分画の細胞を標的に遺伝子導入し、SRCへの遺伝子導入効率、遺伝子発現量を、従来のモロニー白血病ウイルスを土台としたベクターと比較検討した。その結果、FMEVタイプのベクターでは、より幼弱な造血系細胞でより多くの遺伝子発現が認められた。また、その他の、組織においてもベクター間での遺伝子発現の違いを検討した。その結果、肝臓細胞で、PMEVタイプのベクターの強い遺伝子発現が確認できた。(2)導入遺伝子の長期に渡る発現の観察種々のLTRを持つベクターを用いて、造血細胞株に遺伝子導入し、長期にわたる発現量の変化を評価、検討中である。(3)遺伝子発現細胞の再濃縮制癌剤耐性遺伝子を用いて、生体内で、遺伝子発現細胞を再濃縮することを目指している。薬剤耐性遺伝子として、ヒト06-alkylguanine-DNA alkyltransferaseの変異体であるP140Kが、有用であることを確認し、この遺伝子を組み込んだベクターを作成した。(4)種々のLTR、ベクターの作成種々のレトロウイルス・ベクター、種々のウイルスのLTRの部分を用いたキメラLTR、SFFVの部分欠失LTRを作成し、これらのLTRを持つベクターを作成した。これらを用いた解析結果から、SFFVのLTRのU3領域に、強いcis活性があることを見いだした。更に、解析を進めた結果、転写因子NFAT5の結合する、新たな転写制御領域を同定した。
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