研究課題/領域番号 |
12557083
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
花園 豊 自治医科大学, 医学部, 講師 (70251246)
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研究分担者 |
長谷川 護 (株)ディナベック研究所, 取締役研究所長(研究職)
小澤 敬也 自治医科大学, 医学部, 教授 (30137707)
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キーワード | ES細胞 / 造血幹細胞 / 胎仔移植 / SIVベクター / カニクイザル / ヒツジ |
研究概要 |
1.遺伝子導入ベクターの作成:サル免疫不全ウイルス(SIV)に由来するベクターを作成した。このSIVベクターはgreen fluorescent protein(GFP)遺伝子を発現する。また3'LTRのU3領域を欠失したいわゆるself-inactivating(SIN)ベクターである。またエンベロープは小水泡性口内炎ウイルスGタンパク質を用いた。 2.移植する細胞の準備:移植する細胞は、カニクイザルES細胞またはカニクイザルES細胞からから血液細胞へ分化誘導した細胞を用いた。 (1)移植細胞の遺伝子標識:GFP遺伝子を発現するSIVベクターを用いると、カニクイザルES細胞の90%前後にGFP遺伝子導入が可能であった。しかも、この高いGFP遺伝子発現は、遺伝子導入後5ヶ月経ても続いた。さらに、GFP遺伝子を導入したカニクイザルES細胞から胚様体を作成したところ、GFP遺伝子の発現は衰えなかった。これはES細胞を初期分化させても導入遺伝子の「サイレンシング」が起こらなかったことを示す。 (2)血液細胞への分化誘導:カニクイザルES細胞を特殊なフィーダー細胞(OP9)上に置き、骨形成因子(BMP)-4の存在下で培養すると、浮遊細胞が出現する。この細胞は極めて未熟な造血細胞と考えられ、その表面マーカーなどの解析を行っている。 3.胎仔への移植:上記2(1)で得られたGFP標識した未分化ES細胞をカニクイザル胎仔へ移植した。胎仔の一部はすでに帝王切開によって取り出した。現在、移植したES細胞の生着、増殖、分化をGFPを指標にして解析中である。 上記2(2)で得られた細胞(血液細胞に分化誘導したカニクイザルES細胞)の中に造血幹細胞が含まれるかどうかを調べるために、これらの細胞をヒツジ胎仔へ移植した。また、対照実験として、未分化のままのカニクイザルES細胞をヒツジ胎仔へ移植した。これらの胎仔の一部はすでに帝王切開によって取り出した。現在、その体内にサルの血液が出来ているかどうか解析中である。
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