研究概要 |
胎児動脈管はサイクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤により収縮する。COXの2種の受容体(COX1,COX2)のうちCOX2のみを阻害するCOX2選択的阻害剤が注目されている。私たちは最近開発された高選択的COX2阻害剤であるcelecoxibについての検討を行ってきた。今回の研究では、高選択的サイクロオキシゲナーゼ2受容体阻害剤であるcelecoxibの胎児動脈管収縮作用の妊娠週数依存性及び用量依存性を検討し、さらに腎組織に及ぼす影響を検討した。 方法は日齢20の妊娠ラットをコントロール群、celecoxib群に分け、薬剤投与24時間後に帝王切開し、取り出した胎仔をドライアイスアセトンを用いて全身急速凍結した。続いて、ミトクロームで作成した心血管断面を顕微鏡で観察し、動脈管内径および主肺動脈内径を計測し、この内径比を動脈管収縮の指標とした。この指標の日齢別の変化を統計学的に解析した。また各群の胎仔腎の近位、遠位尿細管の組織学的変化を評価した。 Celecoxib10mg/kgおよび20mg/kg投与では有意な動脈管収縮はみられず、30mg/kg投与で、70%切収縮を示した。40mg/kgから60mg/kgまでは動脈管収縮の増強はなかったが、60mg/kgを超えると、動脈管は90%の収縮を示した。腎組織はcelecoxib10mk/kgで既に近位、遠位尿細管の壊死像がみられ、腎組織の変化はCOX2による影響をより鋭敏に反映すると考えられた。 高選択的COX2阻害剤は胎仔動脈管を有意に収縮させた。また胎仔腎障害は動脈管収縮作用に比し、より低用量で出現した。
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