研究概要 |
高選択的サイクロオキシゲナーゼ2(COX2)阻害剤であるセレコキシブ(Cel)のラット胎児動脈管収縮作用と腎組織変化に及ぼす影響を検討した。日齢20の妊娠ラットをコントロール群、インドメタシン10mg/kg群、Cel群(10,20,0,40,50,60mg/体重)に分け、薬剤投与24時間後に帝王切開を施行し、娩出した胎仔をドライアイス/・アセトンで急速凍結した。続いてミクロトームで作成した心血管断面を顕微鏡で観察し、動脈管(D)および主肺動脈内径(P)を計測、この比(D/P)を動脈管収縮の指標とした。さらに、胎仔ラットの腎臓を取り出し、腎尿細管の組織学的検討も行った。さらにCOX2投与前後の血中プロスタグランジン濃度阻害率と動脈管収縮および腎組織の関係を検討した。COX2の薬物血中動態は血清0.1mlを0.25mlの0.2Nリン酸で処理し、サンプルは1%水酸化アンモニウムを用いて抽出、溶離液は窒素下にacetonitrileと0.01M sodium acetateで溶解し、高性能流動クロマトグラフィーで分析した。 動脈管径はCel10-20mg/kg群ではコントロル群との間に差を認めなかった。しかし、30mg/kgで収縮作用を認め、60mg/kgでは強く収縮(0.12±0.09)した。Cel30mg/kgでは、腎尿細管の壊死を認め、この腎尿細管組織変化はCel用量依存性であった。Cel血中濃度と動脈管および腎組織の障害との関係を解析の結果、Cel血中濃度の増加と腎尿細管障害と動脈管収縮は相関関係を認めた。低濃度のCel投与量(10mg/kg)でも腎尿細管障害が見られたのに対し、動脈管は30mg/kg以上で収縮し、より低投与量のCelで腎組織変化が出現する事が明らかとなった。
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