研究課題/領域番号 |
12557092
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石橋 俊 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (90212919)
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研究分担者 |
原田 賢治 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
後藤田 貴也 東京女子医科大学, 糖尿病センター, 助手 (60322062)
島野 仁 筑波大学, 臨床医学系内科, 講師 (20251241)
大橋 健 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
大須賀 淳一 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10334400)
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キーワード | 動脈硬化 / ジーンターゲティング / アデノウィルス / ACAT / ホルモン感受性リパーゼ |
研究概要 |
動脈硬化巣の脂質に富むプラークは破綻を生じやすく、プラークを構成する泡沫細胞の脂質含量の低下はプラークを安定化し急性冠症候群の抑制に有効である。泡沫細胞の主たる脂質はコレステロールエステル(CE)であるが、細胞内のコレステロールはエステル型と遊離型の間を循環している。この過程はアシルCoA:コレステロール・アシルトランスフェラーゼ(ACAT)と中性コレステロールエステラーゼ(NCEH)により担われている。そこで、マクロファージのACATイソフォームであるACAT-1とNCEHと想定されるホルモン感受性リパーゼ(HSL)の役割について、マクロファージ泡沫化と動脈硬化形成の観点から検討した。 ACAT-1ノックアウトマウスを樹立し、その表現型のひとつとしてマイボーム腺の異常を初めて報告した。また、高脂血症モデル動物を用いた実験により、ACAT-1欠損は動脈硬化進展抑制作用を示した。しかしながら、その抗動脈硬化作用は不完全であり、むしろ強い皮膚黄色腫を生じた。従って、抗動脈硬化薬としてのACAT阻害剤の今後の開発にとって、マイボーム腺や皮膚に対して悪影響のない、血管や小腸・肝臓に組織親和性の高いACAT阻害剤をデザインする必要があると考えられた。また、HSLノックアウトマウスを用いた検討で、HSLの欠損はマクロファージの泡沫化の程度に影響しなかったので、HSLのマクロファージでのNCEHとしての寄与は小さいと考えられた。ただし、アデノウィルスによるマクロファージでのHSLの過剰発現は泡沫化を著明に抑制した。コレステロール低下薬や血管特異的なACATの阻害及び血管局所でのHSLの高発現を併用することによりプラーク内の脂質除去が可能になり、強力なプラークの安定化が期待される。
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