研究概要 |
これまでの研究で判明したこと: Ratで,(1)LPS(lipopolysacharide)をあらかじめ投与(0.2mg/kgを24h毎に3回,静注もしくは腹腔内投与)しておくと,致死量のLPS(5mg/kg)に抵抗する(endotoxin tolerance);(2)LPS前投与(hypoxia負荷の72h前に10micro-g)により,hypoxia(9%O2)による炎症の拡大や心肺機能の低下を防ぐことができる;(3)LPSの代わりに無毒化endotoxinのMLA(monophospho lipid A)を前投与した場合は,endotoxin toleranceを誘導できない;(4)MLA前処置後にhypoxiaに負荷してもhypo-oxygenationの程度はsaline前処置群と変化なかった. 以上のことから,MLA単独処置だけではhypoxiaによりおきる炎症の拡大やエネルギー代謝の失調を防ぐことが難しい状況が判明した.MLAによるstress(hypoxia)toleranceの成立を目指す前提として,endotoxin toleranceの成立そのものの機構を明らかにすることが今年度の課題となった. 03年度で明らかにした点はつぎである.Ratで血清中のinflammatory cytokine levelを指標としたとき,endotoxin toleranceの成立にはbeta-adrenergic systemがintactであることが必須である(endotoxin tolerance誘導中にbeta-blockerを投与しておくと,血清TNF-alphaおよびIL-6levelがsaline投与に比べて高くなる). 結論:Cross toleranceの機構を利用したMLA投与によるhypoxia resistanceの成立には,beta-adrenergicが優位な環境が必要かもしれない.
|