研究分担者 |
高橋 郁雄 九州大学, 医学部・附属病院, 講師 (70325439)
北村 薫 九州大学, 医学部・附属病院, 講師 (70234276)
池田 陽一 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (50311840)
古賀 聡 九州大学, 医学部・附属病院, 医員
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研究概要 |
本研究は、マイクロラテライト不安定性解析、および定量的RT-PCR法という異なった分子生物学的手法を用いて癌の生物学的性状の解明、および臨床面での応用を目指すものである。マイクロサテライト不安定性解析は、細胞のミスマッチ修復異常を評価する指標と考えられているが、我々は蛍光標識したPCR primerと自動シークエンサーを用いた、より客観的なマイクロサテライト不安定性解析手法を既に開発しており(S.Oda,et al.Nucleic Acids Res 25;3415-3420,1997)、細胞株及び臨床検体での正確な評価を可能にしてきた。胃癌、大腸癌、食道癌、乳癌、肺癌、泌尿器癌などの各種悪性腫瘍に対して測定を行なってきたが、乳癌においては75例のうち7例にマイクロサテライト不安定性陽性(陽性率9.3%)であった。ミスマッチ修復異常はDNA修復と5-FU感受性との関連が注目されており、今後の展開としては各癌腫における陽性率と抗癌剤感受性試験で評価される5-FUの感受性との関連、および治療効果との相関などを検討して行く予定である。 定量的RT-PCRが注目される理由は、従来のRT-PCR法が遺伝子mRNAの発現を定量的に正確に評価することが困難であることにある。今回、まず定量的RT-PCRを利用して微少癌細胞を効果的に検出するシステムを構築することを目的として、上皮由来マーカーであるcytokeratin(CK)18に注目した。解析の結果CK18は正常ヒト末梢血液にも発現しているものの消化器癌細胞株では更に多く発現しており、ヒト癌細胞を末梢血液中より検出できることを確認した。今後の展開として、CK19,20,CEAなどのマーカーとの比較を行ない、末梢血液、骨髄などでの測定を行ない癌患者での微少癌細胞検出の臨床的意義を解析する予定である。
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