研究課題/領域番号 |
12557103
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
江川 裕人 京都大学, 医学研究科, 講師 (40293865)
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研究分担者 |
上本 伸二 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40252449)
猪股 裕紀洋 熊本大学, 医学部, 教授 (50193628)
田中 紘一 京都大学, 医学研究科, 教授 (20115877)
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キーワード | ブタ全小腸同所性移植 / マイクロスフェア / タクロリムス / 拒絶反応 / 感染症 |
研究概要 |
ブタ全小腸同所性移植モデルの確立および内視鏡検査の確立を行った。特に内視鏡検査は腸陰窩細胞のアポトーシスに着目して、拒絶反応の早期診断法を確立した。先に行ったラットにおけるタクロリムス含有マイクロスフェアの至適サイズ至適分子量を参考に、ブタ全小腸同所性移植モデルにおいて同様のマイクロスフェアを経口的に投与し、その至適含有量を検討した。検討項目は、死因、平均生存日数、タクロリムス平均血中トラフ濃度、拒絶反応の有無、剖検時の感染症の有無、生化学等を含む血液検査とした。拒絶反応の有無は週2回の内視鏡検査で生検を行い、肉眼的および組織学的に検討した。まずブタ全小腸同所性移植モデルの手技確立の為に27頭移植を行った。次に拒絶モデルとして黒ブタをドナーに白ブタをレシピエントにしてallogenecityをMLRで確認した。1週間以内に死亡した個体は除外した。拒絶モデルで、免疫抑制剤の投与なしに4頭移植を行った。これらの平均生存日数は13.5日で全例に拒絶を認めた。また感染症は1例も認めなかった。次にタクロリムス単独を0.5mg/kg/day投与する群を5頭行った。この群の平均生存日数は16.6日で全例に拒絶を認めた。また感染症は2例に認めた(40%)。タクロリムス平均血中トラフ濃度は12.8ng/mlであった。次にタクロリムス含有マイクロスフェア1mg/kg/day投与群を1頭行った。このブタは12日目に敗血症で死亡した。タクロリムス平均血中トラフ濃度は60.6ng/mlであった。血液中濃度を下げるために、タクロリムス含有マイクロスフェア0.5mg/kg/day投与群を1頭行った。このブタは7日目にやはり敗血症で死亡し、そのタクロリムス平均血中トラフ濃度は40.3ng/mlであった。さらにタクロリムス含有マイクロスフェア0.1mg/kg/day投与群を1頭行ったが、このブタも5日目に敗血症で死亡した。そのタクロリムス平均血中トラフ濃度は24.6ng/mlであった。以上からタクロリムス含有マイクロスフェアは0.1mg/kg/day未満が望ましいと示唆された。次年度は0.1mg/kg/day未満で至適濃度を検討する。
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