研究課題/領域番号 |
12557103
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
江川 裕人 京都大学, 医学研究科, 講師 (40293865)
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研究分担者 |
上本 伸二 三重大学, 医学部, 教授 (40252449)
猪股 裕紀洋 熊本大学, 医学部, 教授 (50193628)
田中 紘一 京都大学, 医学研究科, 教授 (20115877)
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キーワード | ブタ全小腸同所性移植 / マイクロスフェア / タクロリスム / 拒絶反応 / 感染症 |
研究概要 |
ブタ全小腸同所性移植モデルにおいて経口的タクロリムス(TAC)含有マイクロスフェア(TAC-MS)の至適サイズ、至適投与量およびその効果を検討した。検討項目は、死因、平均生存日数、TAC平均血中トラフ濃度、拒絶反応の有無、剖検時の感染症の有無、生化学等を含む血液検査とした。拒絶反応の有無は週2回の内視鏡検査で生検を行い、肉眼的および組織学的に検討した。対照群として、TAC単独0.5mg/kg/day投与群(5頭)では、平均生存日数は16.6日で全例に拒絶を、感染症は2例(40%)認めた。TAC平均血中トラフ濃度は12.8ng/mlであった。TAC単独0.2mg/kg/day投与群(6頭)では、平均生存日数は11.0日で全例(100%)に拒絶を認めた。また感染症は1例も認めなかった。TAC平均血中トラフ濃度10.9ng/mlであった。さて、TAC-MS 1,0.5,0.1mg/kg/day投与群で検討したが、いずれも敗血症で死亡し、TAC-MSは0.1mg/kg/day未満が望ましいと示唆された。そこでTAC-MS 0.04mg/kg/day投与群(5頭)では、平均生存日数は28.6日で、2例の30日以上長期生存例を得た。拒絶は1例も認めず、感染症も1例も認めなかった。TAC平均血中トラフ濃度は10.5ng/mlであった。タクロリムス含有マイクロスフェア0.02mg/kg/day投与群(2頭)の生存日数は9.5日で、感染症は認めなかったが、拒絶は1例に認めた。TAC平均血中トラフ濃度は9.5ng/mlであった。以上よりTAC-MSは0.04mg/kg/day投与群が最も成績が良く、TAC単独0.5mg/kg/day投与群と比較しても平均血中トラフ濃度が低いが平均生存日数はより長く(P<0.05)拒絶も感染も抑制できることが判り、その有用性が示唆された。
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