研究概要 |
年年度,健常者に行った加速度センサーによる歩行周期の検出を片麻痺患者群3例について行った.ニューラルネットワークの出力は,健常者とわずかしか違わず,ほぼ正確に遊脚,立脚を認識した.加速度センサーと heel sensor間で遊脚期開始のタイミングを計ると健常者では最大60msecであり,片麻痺患者では80msecであった.その差は遊脚期間のそれぞれ5%と12%であった.次いで,加速度センサーを用いて実際の脳梗塞片麻痺患者の歩行再建を行った.患者は,58歳,女性.発症後5年が経過し,経皮的埋め込み電極を用いたFESを3年間行っている.前年度の加速度センサーを用いた歩行周期測定実験と同様にマイクロコンピュータに被験者の歩行を学習した後のニューラルネットワークをプログラムした.加速度センサーとマイクロコンピュータをAkita Heel Sensor System(AHSS)の刺激装置につないで歩行時の立脚期と遊脚期を判断させた.その結果,マイクロコンピュータからの圧出力が圧センサーの信号とほぼ同じタイミングに出力された.遊脚期開始のタイミングの相違は,全歩行の86%は遊脚期開始前後80msec以内に収まっていた.歩行を観察すると,患者の下垂足歩行は矯正されており,患者もAHSS使用時と比較して自覚的に違和感なく使用できた.このように,加速度センサーを用いたオールインワン機能的電気刺激装置は,脳卒中片麻痺による下垂足歩行の再建を可能とした.
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