研究概要 |
われわれは,in vivoにおいて局所ターゲティングが可能な磁性体リポソームを開発し,さらに磁性体カチオニックリポソームを用いた遺伝子治療について検討している.今回,磁性体リポソームの臨床応用に向けた改良のため,1)ステルス磁性体リポソームの作製と2)生体外磁場装置の作製を行った. 1)局所ターゲティングを阻害する原因である,細網内皮系への取り込みを抑えるため磁性体リポソームにステルス性を付加した.Egg phosphatidylcholine(20mg),Cholesterol(5mg)より成る通常型のリポソーム膜に,Polyethylene glycol(2mg)を加えてステルス性を持たせた.この膜内包に強磁性体である酸化鉄微粒子(10mg)を逆相蒸発法により封入し,ステルス磁性体リポソームを作製した.現在,その特性評価を行っている. 2)これまで磁性体リポソームの誘導のために,腫瘍(直径10mm)内に永久磁石(0.4tesla)を埋め込んでいたが,臨床応用を念頭に生体侵襲のない生体外磁場装置を作製した.連続磁極可変型電磁石で,磁極間隔0〜65mm,磁極直径10〜30mm,発生磁界1tesla(磁極間隔10mm時)である. 今後、ステルス磁性体カチオニックリポソームに野生型p53遺伝子を封入する.外磁場装置を用い,ハムスター骨肉腫に局所ターゲティングおよびp53遺伝子導入を行い,その抗腫瘍効果について検討する予定である
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